IoT機器を中心に、各種電子機器、ユニット、セミカスタムボード、 機器筐体などの開発から、製品の量産まで、社内および、 パートナー企業のネットワークで対応します。
電源のカスタム設計およびその周辺回路まで、高信頼性や長寿命、 ハイスペック等の様々な課題の解決を得意としており、 インフラをはじめ様々な産業機器への採用実績が多数あります
ニュース、トピックス、リリース情報をお知らせします。
製品・サービス、その他各種お問い合わせはこちらからお願いいたします。
2022.08.16
USBのコネクタはType-Cが普及して使いやすくなりました。最新のUSB規格は転送スピードが速く、充電や映像伝送などの機能面も充実しています。一方、USBには多くの規格があり、混乱される方が少なくないかも知れません。このコラムでは、USBの規格と便利な機能について説明します。そして、USBの新しい規格を活用してシンプルな接続を実現させるシーンを描いてみます。
人と会話するためには同じ言語で話をする必要があります。相手が何語だか分からない言葉を使っていると会話が成り立ちません。機器同士でデータをやりとりする際も、「何語で話すか」に相当する「規格」を決めておく必要があります。
<図1> 会話を成立させるには言語を統一する必要がある
機器間の通信方式は高速シリアル通信が主流となっており、用途ごとにいくつもの規格があります。USB(Universal Serial Bus)はPCや周辺機器を接続する規格として普及しています。
<表1> 高速シリアル通信の規格
USBの規格には ”バージョン” と ”世代” があります。バージョンはUSB 1.0から始まり、最新のUSB4まで進化を重ねてきました。USBのバージョンはUSB 3.1, USB 3.2などUSBの後ろに付けた数字で表記されています。USB4では少数点以下のバージョン表示はやめてUSB4というシンプルな名称にとどめることになりました。また、”USB”と”バージョン”の間の半角スペースはUSB4では廃止されました。
<表2> USBの規格と機能 クリックで画像拡大
USB 3.1以降は世代(Generation)を表すGen1, Gen2という分け方が追加されました。このGen1, Gen2という表記は、USB 3.1以降を表記する際に以前のバージョンを残した表記です。例えば、USB 3.1 Gen1は USB 3.0と同じ規格です。
<表3> USBのバージョン表記
Type-Cコネクタには端子が2段あります。この2段を活用し、信号を伝送するレーンを2つ使う「デュアルレーン」によりデータ転送速度を2倍にしました。USB 3.2の場合、2レーン使うと転送速度が20Gbpsになりますが、この場合は ”USB 3.2 Gen2x2” と、2レーンを表す”x2”を追記して表示する場合があります。
<図2> USBコネクタ
表2で示した通り、それぞれのUSBバージョンごとに接続できるコネクタの種類は限定されています。接続できるコネクタはType-A/ B/ C、Micro-A/ B/ ABと6種類ありましたが、最新のUSB4ではType-Cに限定されました。
Type-Cコネクタは2段ある端子の上下が同じ機能を持つので、機器に挿入する際は上下の区別がありません。また、両端の端子ともホスト(PCなど)、デバイス(プリンタなどの周辺機器)のどちらにも接続することが出来ます。以前は、Type-Aがホスト側、Type-Bがデバイス側と接続する端子が限定されていました。
既にUSB Type-Cコネクタは普及していますが、一方でiPhoneなど米Apple社の製品ではUSBではなくLightningコネクタが多用されています。新規に発売される電子機器のコネクタはUSB Type-CとLightningが大半を占める中、EU理事会と欧州議会は2022年6月7日、充電コネクタをUSB Type-Cへ統一する法案に暫定合意したと発表しました。この法律は2024年の秋から適用の予定です。携帯電話をはじめとした幅広い電子機器が対象で、これを機にコネクタの規格はUSB Type-Cがより一層普及するかも知れません。
USBは基本仕様として給電機能を備えています。そして、USB Type-Cには電力供給の拡張機能としてPD(Power Delivery)があります。PD機能により、機器を急速充電することが出来ます。また、USB PDのロールスワップ機能により、周辺機器側、ホスト側のどちらをも電源供給側にすることができます。PDによる最大給電能力は以前は100Wでしたが、2021年の仕様変更により240Wまで拡張されました。但し、240Wでの急速充電を実現する為には機器とケーブルの両方が240Wに対応している必要があります。
<図3> Power Delivery対応充電器
USB 3.1以降のType-Cには拡張機能としてオルタネートモード(Alternate mode)があります。オルタネートモードでは高速データ伝送を行うピンを使ってUSB以外の信号を伝送できます。Type-AやType-Bのコネクタではオルタネートモードは使えません。USBで映像伝送して表示するためには、出力側であるホスト(PC)、ケーブル、入力側であるディスプレイの全てがオルタネートモードに対応している必要があります。映像の伝送に特化した高速シリアルインターフェースとしてはHDMI、DisplayPortが普及していますが、オルタネートモードにより、USBケーブルでDisplayPortの信号を伝送してディスプレイ出力する方法が普及し始めました。
<図4> USDで映像伝送できる条件
MacなどAppleのPCで使われているThuderboltもUSBと同様に周辺機器と接続する規格です。Thunderboltは一つのコネクタで映像とデータの両方を伝送することができます。また、機器をデイジーチェーン(数珠つなぎ)で接続することが出来るので拡張性に優れています。USBはデイジーチェーンができません。
Thuderboltはケーブルに光ファイバーを使うことができ、最大60mの長距離用に使うこともできます。ケーブルには減衰や遅延した信号を補正するためのチップが両端に内蔵されています。高性能なインターフェースですが高価であり、主にハイエンドPCや映像処理に特化したPCに搭載されています。
<表4> Thunderboltの規格<図5> Thunderbolt と USB のデータ・レート
2011年にThunderbolt 1が発表されて以来、ThunderboltはUSBよりも速い転送速度を保ってきました。しかし、Thunderbolt 4ではUSB4との統合が進み、データ・レート(転送速度)はUSB4と同じです。Thunderbolt 3とThunderbolt 4はコネクタもUSB Type-Cとなりました。また、Thunderbolt 4はThunderbolt 3以前との互換性を維持したまま、USBとも互換性があります。
<表5> USBとThunderboltの違い
オルタネートモードに対応したType-Cを使えば、USBケーブルで映像を伝送出来ます。また、USB PDに対応した機器とケーブルを使えば急速充電が出来ます。この様に、オルタネートモードとPDを活用すればケーブルと充電器を従来より減らすことができ、充電とディスプレイ表示のシンプルな接続を実現できます。
<図6> USBの最新規格を活用した映像伝送と急速充電
アドテックは、PD対応の急速充電器、充電ケーブルを販売しています。充電ケーブルは240W対応のケーブルも扱っております。USBに関するご相談がございましたらお気軽にお問合せください。
Power Delivery対応の急速充電器
充電ケーブル
会社概要
採用情報
© 2019 ADTEC Corporation